『上を下へのジレッタ』セリフ OP〜工事現場

 

 

個人的な保存用、うろ覚えになります。

 

記憶違い、会場違いでアドリブなどあり表記しますが全部入ったわけではないので全部書けるわけではありません。

 

 

横山さんの歌唱部分は黒文字のまま

アンサンブル女→赤文字表記

アンサンブル男→青文字表記

アンサンブル→紫文字表記

とします。

 その都度変更ある場合は曲名の下に表記します。

 

 

M01 虚構の共犯者

 

星をかきけす ネオンサイン

付きを挟んだ ビルディング

永遠なる右肩上がり 膨らみ続けるGNP

一億人に 約束された明るい未来

一億人に もれなく当たる明るい未来

 

すべてまやかし すべては虚構

「それが何?」とあなたは言う

「上手に騙せ」とあなたは言う

見事 叶えて差し上げましょう

生まれついての大嘘つき

希代の詐欺師 天才マジシャン

指が鳴ったら 目を開け

望み通りの 虚構の世界

望み通りの 虚構の世界

 

 

「ディレクター!本番です!」

「5秒前!4、3、、、」

 

 

組織ぐるみの 大嘘つき

飛ばせ 電波で まやかしを

リアルは全部 フレームアウト

トークになるまで出番なし

歌の間は休憩時間

 

口パク 口パク 口 パクパク

口パク 口パク 口 パクパク

口パク 口パク 口 パクパク 口パクの歌姫

塗って 塗って 塗って 塗って 塗って

盛って 盛って 盛って 盛って 盛って

塗って 塗って 塗って 塗って 塗って

盛って 盛って 盛って 盛って 盛って

 

列を乱すな 事務所の序列を

列を乱すな 事務所の序列を

 

「下品」?「汚い」?「教育上」?

「下品」?「汚い」?「教育上」?

あんた、昨夜の夢につべこべ言うか?

あんた、昨夜の夢につべこべ言うか?

どれも演出! 全部タテマエ!

どれも演出! 全部タテマエ!

そうフィクション! フィクション!

 

すべてまやかし すべては虚構

「それが何」とあなたは言う

「上手に騙せ」とあなたは言う

見事 叶えて差し上げましょう

組織ぐるみの大嘘つき

フェイクの達人 電波マジシャン

チャンネル回して 目を開け

望み通りの虚構の世界

望み通りの虚構の世界

 

 

「CMでーす!」

 

P「おいおい門前!まずいぞまずいぞ!なんだよえ?!なんでよりによって竹中プロのタレントをあんな端っこに!」

 

門前「説明するまでもないでしょう!」

 

P「見ろ見ろ!来たぞ来たぞ!竹中の社長が!はいぺったーん!

 

竹中「説明してくださるかしら?」

 

秘書「本番中に立ち位置が変わった理由です!」

 

門前「おたくのタレントがあまりにも見苦しかったもので退いてもらったまでです」

 

P「門前!」

 

竹中「見苦しい?うちの子が?」

 

門前「テレビは常に現実離れしたものを提供しなければいけないんです。なのにあんな近所の娘でも出来るような歌と踊りをやられちゃったら」

 

竹中「それを現実離れしたものに見せるのが、あなたの仕事でしょう?」

 

門前「せめてガラスならダイヤに見せてやれないこともないですが、その辺に転がってる石ころじゃあ、何をしたって石ころでしょう」

 

竹中「それは、あなたが無能だからじゃなくて?」

 

門前「無能?この俺が?」

 

竹中「今すぐこの仕事を辞めたほうがいいわ、そうでしょ?」

 

P「彼をクビにしろと?いや、しかしあの、生意気ですが才能のあるやつでして…」

 

竹中「この男を切らないなら全ての番組からうちのタレントを引き上げます!」

 

P「門前貴様はクビだ!」

 

門前「えぇ!」

 

竹中「結構」

 

 

 

リエ「番組見たわ、竹中プロを怒らせなくてもクビになってたかもね」

 

門前「また1から出直しだ」

 

リエ「大丈夫よ、あなたなら」

 

門前「いい機会だ、お前とも離婚しよう」

 

リエ「ゴホ…何がいい機会なの!?」

 

門前「デカい事を始めるにはデカい犠牲が必要って事さ。ほらこれを…」

 

リエ「既に離婚届け?!」

 

門前「既にサインもしてある」

 

リエ「逆らっても無駄ね…あなたがそう決めたなら」

 

電話が鳴る

門前「はい門前。なに?視聴率?」

 

P「今日の番組がビデオ速報で52%だ!これは快挙だぞ!」

 

門前「それで?」

 

P「それでって!社長がすぐに会いたいと仰っている!」

 

門前「会う理由がないね!俺はもうクビになったんだから!」電話を切る

 

P「もしもし門前?…おい門前!」「ごめんなさい…」

 

 

リエ「何かで読んだんだけど、オーソンウェルツって俳優がいてね、彼は天才すぎて仕事も結婚も上手くいかなかったそうよ、だから貴方もそうなんだわ」

 

門前「サインはしたか?」

 

リエ「また誰かと結婚するの?」

 

門前「さあね、したって長続きしないだろうよ」

 

 

編集社「お疲れ様です!小説文朝です!小説の原稿の催促に参りました!」

 

門前「やばいぞ…!」

 

門前「リエ!口述筆記だ!」

 

リエ「嫌よ!私もう貴方の奥さんじゃない!」

 

門前「銀座についためぐみは、来るとも来ないとも知れぬ高橋を思いながら、夜空を見上げるネオンを見上げた…そうしていると、自分がまるで…ぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺら…」

 

編集社「おぉ!いつもながら見事ですなぁ!」

 

門前「ぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺら、ぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺら…信じていいの?めぐみは小さく呟いた…続く!!」

 

リエ「悔しい!いつもの癖で速記しちゃったわ!」

 

門前「ご苦労」

 

編集社「原稿たまわります(?)。いやぁ、しかし先生はタフですな、テレビの演出をしながら評論もエッセイも小説もこなすっていうんですから」

 

門前「そんなことよりおたくの雑誌、芸能にも強かったよな?竹中プロを についてなにかネタはないのか?」

 

編集社「竹中プロ?あ、そういや、晴海なぎさって歌手、ご存知です?」

 

門前「あぁ、顔を見せない覆面歌手ってあれか?」

 

編集社「はい、そいつをですね、竹中プロは最近、クビにしたそうですよ」

 

門前「理由は」

 

編集社「さあ?そこまでは!それじゃ、次号もよろしくお願いしまーす!」

 

門前「晴海なぎさねぇ…」

 

リエ「竹中プロに復讐でもするつもり?」

 

門前「コケにされたままじゃいられねぇだろうよ!」

 

リエ「分かるわ、私もそうだから」

 

リエ「執念深いのよ」

 

門前「このへやとここにあるものは全部やる!元気でな。もう会うことも無いだろうよ!」

 

リエ「会うわよ…きっと」

 

 

 

チエ「ごめんください!晴海なぎさです!」

 

門前「よく来てくれた、入ってくれ」

 

チエ「失礼します!」

 

門前「き、君が晴海なぎさ?!」

 

チエ「はい!本名は越後きみこって…」

 

門前「どうでもいいよぉ!」

 

チエ「え?」

 

門前「覆面歌手として活動していた?!」

 

チエ「はい!人前に出るときはこういう仮面を被って…」

 

門前「納得だよ!!」

 

チエ「どういう意味ですか!」

 

門前「竹中プロをクビになった理由は!」

 

チエ「私の田舎でリサイタルがあったんです!アイドルになった姿をどうしてもお父ちゃんとお母ちゃんに見せたくて…そんで私、歌ってる途中でこの仮面を…!」

 

門前「取ったのか?」

 

チエ「そしたら不思議なことに会場が笑いに包まれて…!」

 

門前「不思議でもなんでもねぇな!」

 

チエ「その日のうちにクビになりました…」

 

門前「きみ!整形するつもりは?」

 

チエ「あはははは!」

 

門前「うおぉ!」

 

チエ「ありませんよー!こう見えても私、ミス丸太ん棒なんです!」

 

門前「なんだそれ?」

 

チエ「うちの田舎の伝統的なミスコンです!5日間、何もしないでこう、丸太ん棒みたいに突っ立って、その間に言い寄って来た男性の数を競うっていう」

 

門前「君に言い寄る男がいたってのか」

 

チエ「いたもなにも、ダントツの54人です!」

 

門前「数え間違いだろ!」

 

チエ「間違ってません!」

 

門前「とにかく歌を聞かせてくれ。ここに君が今まで出したシングルの譜面がある」

 

チエ「その前に何か食べさせて貰えませんか?」

 

門前「テストが済んだら食わせてやる」

 

チエ「失業してからロクなもの食べてなくて」

 

門前「さあどれを歌う」

 

チエ「出前を取ってください!」

 

門前「あぁ!じゃあもうこれでいいや!黄昏のフィナーレ!」

 

チエ「おそばかラーメンで結構ですから!」

 

 

 M02 黄昏のたぬきそば

赤文字→中川翔子

 

 

I love you.

I miss you.

Do you love me.

I love you.

I miss you.

I do love you noodol…

 

 

門前「ヌードル?!」

 

 

遠回りした帰り道

夜風にゆれる藍のれん

かすむメニューは湯気のせい?

向かいの席には 見知らぬ誰か

誰かのすする たぬきそば

あなたの好きな たぬきそば

 

 

門前「お前はなんの歌を歌ってるんだ?!」

 

チエ「何か食べたらもっと上手に歌えます!」

 

門前「はい2番!」

 

チエ「待ってください!私もう、ふらふら…」

 

 

I love you.

I miss you.

Do you love me.

I love you.

I miss you.

I do love you noodol…

 

 

門前「ヌードル?!」

 

 

明かりの消えた 部屋の窓

静まり返った 部屋の中

薄い壁ごし 囁くの

ズズズズズズズ… ズズゾゾゾ…

 

 

門前「蕎麦をすするな蕎麦を!!」

 

 

あれはきっと たぬきそば

揚げ玉? 天かす? どっちでもいいわ!

まるで水面を埋める 花吹雪

それが私の それが私の たぬきそば

 

 

 

門前「うわぁ!」

 

チエ「このぐらいでご勘弁を…」

 

門前「どういう事だその顔は!」

 

チエ「また顔の話ですか!」

 

門前「だってまるで、別人だぞ!」

 

チエ「もう贅沢は言いません、お水でいいから飲ませてください!」

 

門前「ちょっと待ってくれ……ミス丸太ん棒!」

 

チエ「はい…」

 

門前「その時も腹は空いてたか?」

 

チエ「そりゃぁ、丸5日間、飲まず食わずでしたから…」

 

門前「からくりがわかってきたぞ!つまり君はお腹が空くと美人に変身するって訳だ!しかしその事を竹中プロは知らなかった。所属している間は曲がりなりにも食えていた訳だからな」

 

チエ「お水、勝手に頂きます」

 

門前「ちょっと待て!」

 

チエ「いいじゃない!お水くらい!」

 

門前「俺と契約しよう、なぎさ」

 

チエ「え、じゃあ雇って頂けるんですか?」

 

門前「となると芸名を変える必要があるな。そうだな、小百合チエってのはどうだ?!」

 

チエ「あはははは」

 

門前「何がおかしい!」

 

チエ「すいません」

 

門前「俺に任せろ小百合チエ、この門前一郎が必ずお前をトップスターにしてみせる」

 

 

 

門前「えー、この度わたくし門前一郎は芸能事務所、門前プロを立ち上げました。そのご披露を兼ね、弊社の所属タレントであります小百合チエをご紹介致します」

 

チエ「小百合チエでございます」

 

「おぉ〜!」

「すごい美人だ!」

「門前の奴、竹中プロに対抗するって言った時はあらぬことをと思ったが…」

「これはひょっとするとひょっとするわね!」

 

チエ「どうぞよろしくお願い致します」

 

「なんの音だ?」

 

門前「会見は以上です!失礼致します!」

 

「待ってください!」

「小百合チエさんの今後のスケジュールは?!」

「デビュー曲は?!」

「コンサートのご予定は?!」

 

門前「うちはタレントを安売りしませんよ、最初から大勝負に出るつもりです。例えばそう、ブロードウェイのジミー・アンドリュウスと共演させるとかね」

 

記者「(笑)」

 

門前「何がおかしいんです?」

 

竹中「あははは!これがおかしくないってんなら貴方は正気じゃぁ、無いわ!」

 

門前「いらしてたんですね、竹中社長」

 

竹中「あの世界的なスターと日本の無名タレントが共演できる訳がない!」

 

門前「どうして言い切れるんです?」

 

秘書「我が社でも相手にしてもらえないからだ」

 

記者「へぇ〜」

 

竹中「余計なこと言わなくていい!」

 

秘書「あっ、すいません…」

 

門前「それはあなた方が、無能だからじゃないですか?」

 

竹中「なんですって?」

 

門前「では失礼」

 

竹中「ちょっと待ちなさい!…あのど素人め!見てくれだけでスターになれるほど、芸能界は甘くはないわ!」

 

 

 

門前「尻を突きだせ尻を!胸をぐっと寄せろ!そんで腹を黙らせろ〜!」

 

チエ「だったら何か食べさせて!」

 

カメラマン「笑って!オッケー!最高の仕事が出来ました!」

 

門前「早速現像してくれ、一刻も早くアメリカのジミーに送るんだ」

 

カメラマン「うわぁ!」

 

山辺「あぁ!すいません!」

 

門前「誰だお前は」

 

チエ「おんちゃん!」

 

山辺「きみちゃん!」

 

門前「知り合いか?!そんなことより早く現像だ!」

 

カメラマン「はい!」

 

大阪アドリブ(門前「ちょ、早く行けよ」)

 

チエ「どうしてここに?」

 

山辺「テレビで記者会見を見たんだ」

 

門前「お前は一体誰なんだ」

 

山辺「俺か?俺の名は、山辺音彦だ!」

 

チエ「一緒に夢を追って上京してきたんです」

 

 

M03 食うか飢えるか

赤文字→中川翔子

青文字→浜野謙太

紫文字→中川翔子&浜野謙太

 

揺らり揺られて 夜行列車 

俺は漫画家 君は歌手

夢への道は各駅停車

 

いつかきっと一発当てて

きみに思う存分食わせたい

食えば食うほど 食えなくなるぞ

食ったら食えなくなるぞ

 

今は 食わせてやれないけれど…

飢えてこその小百合チエ

mog mog mog

贅沢は言わない

そこそこ食べていければいいわ

そもそもが大食いだ

 

結婚資金コツコツ貯めて

芸能界でパッと荒稼ぎ

ルルル 故郷で質素に結婚式を挙げましょう

世界がマーケット

小百合チエのマーケット

 

ルルルまずは 食えるように

ルルルまずは もう食うな

食わせてやりたい 食えなくなるぞ

食べられるようになったら

飢えたままでいられたら 必ず

必ず 必ず開ける 夢への扉…

 

 

山辺「お前がきみちゃんを虐待してるのは一目でわかった、こんな貧相な顔になっちまって…」

 

チエ「見苦しい姿を見せちまったねぇ…」

 

門前「見苦しいのは元の面だよ」

 

山辺「俺は本来のきみちゃんの顔が好きなんだ!」

 

門前「そっちが好きなのは日本中で君だけだ」

 

山辺「…なに?!」

 

門前「そろそろインタビューの記者が来る。外で話をつけよう」

 

山辺「望むところだ!」

 

チエ「寒っ!先生!おんちゃん!」

 

山辺「待ってなきみちゃん、戻ったら2人で腹一杯食べような」

 

チエ「おんちゃん!!!」

 

 

 

 山辺「おい、どこまで歩かせやがるつもりだ!もうここで決着をつけようじゃないか!」

 

門前「だってここはビルの工事現場だぞ!」

 

山辺「いいか、よく聞け、俺ときみちゃんはな」

 

門前「婚約してるんだろ。でも2人して金がない。だったら彼女の成功を大人しく待ちな!」

 

山辺「馬鹿野郎!こうなりゃ話は別だ!おれはな!」

 

「ガガガガガガガ」

 

山辺「ウィーン、かしゅ…ってな!で、そのあたりどうなんだ!」

 

門前「すまない、全く聞こえない」

 

山辺「この野郎!もう二度と言わねぇからな!俺はな!」

 

「ガガガガガガガ」

 

山辺「ウィーン、かしゅ…さあ!答えを聞かせてくれ!」

 

門前「ごめん…もういっかい頼む!」

 

山辺「ふざけやがってこの野郎!」

 

門前「うわぁ!だってさ!音がさ!落ち着けよ!話し合おうじゃないか!」

 

山辺「待ちやがれ!」

 

門前「ほら、危ないぞ!お前下見てみろ!」

 

山辺「うわ!お前やりすぎだぞ…」

 

門前「なんもやってねぇよ!」

 

門前「おい、何するつもりだ、離せって!」

 

山辺「うわぁー!!!」

 

門前「山辺!おい!返事しろ!山辺山辺ー!!!」

 

作業員「兄ちゃん、こんなとこにいちゃ危ねぇよ」

 

作業員「万が一足でも踏み外して、あのすごーーく深い穴に落ちたら命がねぇ」

 

門前「命が?」

 

作業員「だからこれから塞ぐんだ」

 

門前「塞ぐだって?!」

 

作業員「なんだい、あのすごーーく深い穴に何か落としちまったのかい?」

 

門前「いや、なにも…」

 

作業員「そりゃぁ、すごーーーく良かった」

 

作業員「くれぐれも自分だけは落っことさねぇようにな」

 

 

門前「山辺が死んだ。どうする俺…いや!死体は見つからねぇ!穴は塞がれちまうんだ!哀れ山辺音彦は単なる行方不明って事になる。…待てよ、チエのやつになんて説明する。彼女だけは俺と山辺が一緒だったことを知ってる。くそ…どうする門前!」

 

ナレーション「そうして悶々と過ごしつつ1週間が経った」

 

門前「はい門前。…なに?!ジミー・アンドリュウスが!チエに食いついたか!!!」